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【実録】「実家片付け」・べきべき病と昭和の呪縛(18)
実家の片付けをして、私はある大切なことに気づきました。それは、「モノを整理すること」だけが片付けではない、ということです。
沢山のモノの奥には、親の世代が大切にしてきた考え方や、「こうあるべきだ」という強い気持ちが隠れていました。それが、モノがなかなか捨てられない原因になっていたのです。
今回は、私が実家を片付ける中で見えてきた、ある“心のしこり”のようなものについて、お伝えします。
母を縛る「べきべき病」の正体

「御中元」の箱をワクワクして開けてみると、中は沢山の空き瓶…「空き箱、空き瓶は再利用するべき」との思い込み。使わないのに残している母。(* v v)
私の母は、家事に対して独自のこだわりを持つ人でした。しかし、その根底には「〇〇でなければいけない」「〇〇すべき」という強い固定観念、いわば「べきべき病」があったのです。この病が、母自身を苦しめ、家事を大変にしていることに、私は片付けを通して気づかされました。
毎日洗う雑巾と進化するお掃除事情

「トイレは毎日雑巾で拭かなければいけない」
「トイレマットは毎日洗わなければいけない」
腰が悪い母が、毎日トイレ掃除をしようとしていると聞き、私は「なぜそこまで…」という疑問と、母への心配が頭いっぱいに広がりました。
「一人暮らしなのだから、そこまで神経質にならなくてもいい!」
「トイレ掃除は週に2、3回でも十分!」
だと伝えても、母は聞く耳を持ちません。(※風水的には毎日のお掃除推奨ですが母は腰が悪いので)
なので沢山のトイレ掃除専用雑巾を思い切って処分しました。そして、代わりに「お掃除ウェットシート」を提案。雑巾を洗って乾かす手間、水道代、そして干すスペース。これらを考えれば、使い捨てのウェットシートの方がずっと合理的で衛生的です。
最初は抵抗していた母も、今ではその手軽さに納得してくれて・・・いれば良いのですが。
小さな変化ですが、母の負担がこれで軽減されるはず。ただ、「使い捨て」に抵抗がある世代なので、どうかな。
洗剤一つにも「こだわり」が

母は長年、食洗機には粉洗剤、洗濯機には液体洗剤を使い続けてきました。使い慣れたものへの安心感や、習慣を守る気持ちが強かったのかもしれません。
一方で、今の暮らしには、ジェルボールのように手間いらずで便利な選択肢がたくさんあります。新しいものを受け入れる柔軟さも、暮らしを豊かにする大切な要素なのだと、改めて感じました。
昭和の価値観からの解放

「昔からこうしているから」という理由だけで、家事のスタイルを変えない。これは、昭和の時代を懸命に生きてきた世代にありがちなことかもしれません。
しかし、時代は常に変化し、便利なものは次々と生まれています。歳を重ねれば、体力も生活スタイルも変わってきます。自分が楽に、快適に過ごせるように、暮らし方も柔軟に変えていくべきだと私は思います。
「昭和の頭は固く、柔軟ではない」
そう言ってしまえばそれまでですが、少しの工夫や新しいものを取り入れる勇気を持つだけで、日々の暮らしはもっと豊かになるはずです。大切なのは、自分を大切にし、暮らしを楽にすること。「楽をする=手抜き」ではない!!声を大にして言いたいのです!
片付けの中で見つけた「切ない真実」

実家の片付け中、沢山出てきた物の中で気になったのは、水とりぞうさん(除湿剤)や防虫剤に書かれた日付。
「この日付を書いた時は、まだ元気だったんだな」
そう思うと、もしこの頃に整理を始めていれば、モノはここまで増えなかっただろうし、もっとスムーズに片付けが進んだだろうと思いました。親が元気で、まだ判断能力がしっかりしているうちに、一緒に片付けを進めることの大切さを痛感したのです。
片付けは、親子の「これから」を考えるきっかけ
実家の片付けは、単なるモノの整理ではありません。それは、親の人生を振り返り、親子の関係性を見つめ直し、そしてこれからの「暮らし」を一緒に考えていく大切な作業です。
時には意見がぶつかることもあるでしょう。しかし、根気強く対話を重ね、お互いを尊重しながら進めることが重要です。
便利なものを取り入れ、自分たちにとって本当に必要なもの、心地よい暮らしとは何かを問い直す。そうすることで、親も子も、もっと楽に、そして笑顔で過ごせるようになるはずです。
あなたの実家にも、もしかしたら「べきべき病」のサインが隠れていませんか? 親が元気なうちに、ぜひ一度、実家の片付けについて考えてみてください。
実家の片付けは、暮らしをまるごと変える大きな作業です。大変なこともありますが、「大変」とは「大きく変わる」こと!しかも良い方に変わり、暮らしが楽になるのですから、ぜひ前向きに取り組んでみることをお勧めします。
続く…